脳卒中後のお悩みに多い頻尿について

記事

加齢により、体の状態が少しづつ変化を起こします。その中でも頻尿は多くの人が悩む不定愁訴の一つとされています。脳梗塞や脳出血などの脳血管障害になってしまうと、頻尿になってしまうケースが多くあります。今回は頻尿に関連した情報についてお話ししていきます。

脳卒中(脳梗塞/脳出血)のリハビリをしていると、『飲み物を飲むとトイレが近くなるから控えるようにしている』、『トイレに行くのが大変だから飲み物は飲まない』という話をよく聞きます。脳卒中を発症すると徐々に排尿障害、特に過活動膀胱になりやすくなるという研究結果があります。

頻尿とは

排尿の回数は、日中は3~7回、夜間尿は0~1回が正常とされています。これ以上であると頻尿があると判断されます。

排尿障害とは

膀胱から尿を生成した後~排出するまでの間に何らかの異常が生じ、うまく排出できない、貯めることが難しい状態を指します。

排尿障害には以下の種類があります。

  • 畜尿症状(畜尿症状):昼間頻尿(8回以上が目安)、夜間頻尿、尿意切迫感、尿失禁
  • 排尿症状(尿排出障害):尿勢低下、尿線分割・散乱、尿線途絶、排尿遅延(排尿開始までに時間を要する)、腹圧排尿(腹圧をかけないと尿が出ない)
  • 排尿後症状:残尿感、排尿後尿滴下

があります。

脳梗塞による自律神経障害で、排尿に関わる神経や筋肉に異常が生じ排尿障害をきたします。発症時期によりお悩みが起き易いとされる問題が異なります。

急性期には脳浮腫や意識障害の合併により排尿筋の収縮不全による排出障害が起きやすいとされています。

回復期には膀胱が意識と反して収縮する切迫性尿失禁や過活動膀胱などが生じることが多くあります。障害部位によって生じる病態が異なり、尿意喪失、排尿不全、完全閉尿、尿失禁、頻尿、残尿などがみられます。

特に脳卒中を発症した方に多い症状としては、

・頻尿 トイレに行く回数が1日10回以上、(夜間2回以上)

・尿閉 膀胱に尿は溜まっている状態でも、尿を排出することができない

・尿失禁 意図せずに尿を漏らす

これらの排尿障害は性別や基礎疾患などにより原因が異なってきます。

排尿反射:尿が出る仕組み

大人の膀胱容量は約500mlと言われています。腎臓で生成された尿は膀胱に溜まります。ある一定の尿量までは、膀胱内圧に変化が生じないので尿意を感じる事はありません。自律神経に支配されている膀胱は弛緩し、内外尿道括約筋は収縮しているので尿を溜めている状態を維持しています。そして、尿量が400mlを越えてくると膀胱内圧が上昇します。大脳皮質に、「尿がたまった」という指令が伝わります。そして、大脳から排尿指令が下り、大脳は徐々に蓄尿機能を解除していきます。尿道括約筋の作用で尿排出を自分の意思で我慢することができます。

脳卒中と排尿障害の関係

排尿するためには、まずは脳で尿意を感じ、尿意を感じると脳から膀胱や尿道等の筋肉の収縮をコントロールすることで排尿します。

しかし、尿意を感じる、排尿を促すなどの刺激が脳卒中の影響でうまく身体から脳へ、脳から身体へ伝わらないために、排尿障害が起こります。

また、脳卒中の急性期では意識がないことや身体を動かすことを禁止され、ベッドでの安静にしておく必要もあることから、トイレに行くことができず、バルーンカテーテルを挿入されることも少なくありません。

さらに、バルーンカテーテルの長期間の留置により、膀胱や尿道の筋力を使うことがないため、筋力低下を引き起こしてしまことで尿を貯めておくことができなくなる、排泄がうまくいかない、漏れてしまうなどの排尿障害が起こることも少なくありません。

他にも、脳卒中になると症状を抑えるために様々な薬を飲むことが多くなりますが、薬の影響などでも排尿障害が引き起こされることがあります。

頻尿を抑える方法

トイレが近いことで水分摂取がためらわれるということは脱水を促進してしまったり、濃度の高い尿が体に長時間溜まり続けてしまうということです。

また、脱水になると血液がドロドロになってしまったり、血管が詰まりやすくなってしまったりすることで再発リスクを高めてしまいます。

さらに、体に濃度の高い尿が溜まってしまうと尿毒症や膀胱炎などの感染症を引き起こしてしまうことも多くあります。

脳卒中の維持期になると頻尿になりやすいという研究もあることから、今回は頻尿を抑えるための方法として骨盤底筋トレーニングについてご紹介していきたいと思います。

骨盤底筋トレーニング

骨盤底筋は骨盤の底にある筋肉で、内臓を収める機能の他に、排尿時の尿道や肛門を閉めることで排尿を調整するためにも作用します。そのため、尿漏れや頻尿などの場合には骨盤底筋を鍛えることで改善されるという方も少なくありません。骨盤底筋のトレーニングで共通することはお尻の穴を閉めることが重要です。男性であれば睾丸、女性であれば膣を上に引き上げるイメージをしながら行うことが大切です。簡単にできる運動を紹介したいと思います。

お尻あげのトレーニング

方法

1.仰向けになり、足を肩幅に開き、膝を軽く曲げます

2.お尻の穴を閉めるようにしながらお尻を天井に向かってゆっくりと突き出していきます

3.5秒かけてお尻を持ち上げ、5秒かけてゆっくりとお尻が着くように下ろしていきましょう

お腹を凹ませるドローイング

方法

1.仰向けになって行います

2.手をお腹の上に乗せ足は伸ばしておきます

3.鼻からゆっくりと息を吸いこみます。

4.口をすぼめゆっくりと息を吐き出していきます

5.息を吐きだす際、お尻の穴を閉めるようにして下腹部に力を入れて吐き出すようにしましょう

6.慣れてきたら2から5の動作を座った姿勢や立った姿勢でも行うようにしましょう

自分や家族でできる排尿障害の工夫

介助者による排尿誘導により、その人の排尿パターンに合わせた自然な排尿を促すことは本人にも家族にもできる有効なリハビリ方法となります。決まった時間に誘導したり、決まった時間間隔で誘導することで排尿パターンが確立されやすくなります。

まとめ

脳卒中後に限らず、頻尿に悩む方も多いと思います。必要な筋力を付けるなど少しでも改善できるようリハビリを行うことが大切です!!当店でもトレーニングを行うことができますのでお気軽にご相談ください。

TEL080−3366−8199

コメント