くも膜下出血の原因・前兆・予防からリハビリテーションまで

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くも膜下出血の二大リスク要因が、高血圧と喫煙です。その他のリスクも含め、自分が起こしやすいタイプかどうか、知っておきましょう。

くも膜下出血のリスク要因について

発症リスクを高める要因がいくつかありますので解説していきます。

高血圧

くも膜下出血のリスク要因の中でも、最も一般的なものは高血圧です。高血圧の人は、血圧に問題ない人と比較すると、くも膜下出血による死亡リスクが約3倍も高くなると言われています。
血圧が高いと、動脈瘤にかかる圧力も常に高い状態にあり、特に、血圧の乱高下には十分な注意が必要と言われています。
高血圧の原因の一つに、塩分の摂り過ぎがあります。くも膜下出血の場合も、塩分の摂取量が多いことがリスクにつながります。塩分の多い食事を好む人は、リスクが男性で3倍、女性でも2倍にもなるからです。

高血圧の基準は、「収縮期血圧140mmHg以上、又は拡張期血圧90mmHg以上

喫煙習慣

くも膜下出血の最大のリスクは、喫煙習慣です。喫煙との関連性については、様々な調査が行われていますが、喫煙者のリスクは非喫煙者の2倍~3.6倍にもなります。1日の喫煙量に影響はなく、喫煙していることでリスクを高めます。喫煙は、くも膜下出血以外の病気の要因発生リスクを高めますので、健康な状態でいるためにはタバコを止める必要があります。

家族の病歴

親や兄弟などの家族に、脳卒中(脳出血、くも膜下出血、脳梗塞)発症者がいる場合にも要注意です。男女とも約2倍、リスクが高くなると言われています。

輸血歴

あまり知られていないリスクでは、輸血歴があります。特に男性の場合にはその影響が大きく、なんらかの手術などで輸血歴がある男性は、そうでない男性と比較すると、4倍のリスクがあります。輸血がどのような理由でリスクを高めてしまうのかは、まだ解明できていません。

ストレス

ストレスは血管を傷つけ、くも膜下出血のリスクを高めます。特に女性は影響を受けやすい傾向がみられるので、注意が必要です。女性の場合、60歳以降にくも膜下出血を起こしやすくなります。これには、女性ホルモンの分泌量の減少が関係していると言われています。

くも膜下出血の予防

くも膜下出血は、普段の生活から予防できる対策がいくつかあります。次のようなことに気をつけましょう。

血圧管理が大切!

高血圧の人は日ごろから血圧に注意し、特に大きな変化(乱高下など)があったらすぐに受診しましょう。

大切なのは食事 – 塩分・アルコールは控え、野菜を多めに摂る

塩分をとりすぎないようにしましょう。野菜に含まれるカリウムは塩分の排出を促すので、野菜を多めにとりましょう。アルコールの飲みすぎも、くも膜下出血のリスクを高める要因なので、控えめにしましょう。

禁煙を心掛ける

タバコをやめると、くも膜下出血のリスクは低下し、非喫煙者と同じレベルになると言われています。禁煙による予防効果は明確なので、とくに高血圧の人や家族に脳卒中の人がいる場合には禁煙を心掛けましょう。

くも膜下出血の前兆!

血圧の乱高下の他、突然の頭痛、頭のモヤモヤ感、目の痛みなどの前兆があったら、必ず受診しましょう。動脈瘤は通常、破裂するまで症状を引き起こしません。ただし、以下のいずれかに該当する場合、症状を引き起こすことがあります。

  • 複視と言って物が二重に見える
  • それまでの頭痛とは異なる、突然の激しい頭痛

以上のくも膜下出血の警戒すべき徴候は、破裂の数分から数週間前に起こる可能性があります。異常な頭痛が起こった場合は、すぐにかかりつけ医等に相談しましょう。

大きな動脈瘤が破裂すると

  • 頭痛(後頭部をバッドで殴られたような痛み)
  • 顔面や眼の痛み
  • 複視
  • かすみ目
  • 項部硬直(通常、すぐにはみられない)
  • 意識の消失

破裂による突然の激しい頭痛は、数秒以内にピークに達します。その後、意識消失が起こります。中には病院に到着する前に亡くなる方もいます。昏睡状態で意識が戻らない人や、最終的に亡くなる人もいるほど危険な重篤な状態です。24時間以内に、脳の周囲の血液と髄液によって髄膜が刺激されることで、項部硬直と持続的な頭痛が起こり、嘔吐、めまい、腰痛もみられます。

心拍数と呼吸数が頻繁に変動し、けいれん発作を伴うこともあります。重度の身体障害が発生し、長期的なリハビリテーションが必要となります。

くも膜下出血の重篤な合併症

くも膜下出血は、以下のような別の重篤な問題(合併症)につながる可能性があります。

  • 水頭症:水頭症は、頭痛、眠気、錯乱、吐き気、嘔吐などの症状を引き起こすことがあり、昏睡と死亡のリスクを高めます。
  • 血管れん縮:血管れん縮とは、血管の収縮(れん縮)です。約25%の患者に発生し、通常はくも膜下出血の3~10日後にみられます。血管れん縮が起こると、脳への血流が制限されます。そうすると、虚血性脳卒中の場合と同様、脳組織が十分な酸素を受け取れず、壊死することがあります。血管れん縮は、体の片側の筋力低下または感覚消失、言語能力の低下、めまい、協調運動障害など、虚血性脳卒中と似た症状を引き起こします。
  • 2回目の破裂:動脈瘤の2回目の破裂が起こることがあります。より重篤な状態となります。

くも膜下出血の予後

動脈瘤の破裂によりくも膜下出血が起きた人の約35%は、病院に到着する前に死亡します。動脈瘤が再び出血し始めるため、さらに15%が数週間以内に死亡します。動脈瘤を治療する処置(カテーテルを使って器具を留置するか、手術で頭蓋骨を開ける)により、動脈瘤からの再出血のリスクを低下させることができます。原因が動静脈奇形による場合は、これより良好な経過が期待できます。

一部の人は、くも膜下出血の後、発症前の状態まで回復する人もいます。しかし、たとえ適切なタイミングで治療が行われても、多くの人では脳梗塞・脳出血と同じような症状となります。体の片側の筋力低下、片麻痺、感覚障がい消失や、高次脳機能障がいと言われる言語の使用と理解が困難になるなどの症状が残ります。

くも膜下出血のリハビリテーションについて

くも膜下出血のリハビリでは時期別・症状別のアプローチとなります。医師・理学療法士作業療法士・言語聴覚療法士・看護師・介護士・薬剤師・相談員などチームでの関わりが重要となります。

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