高血圧の状態が長引くと、血管が常に張り詰めた状態になって負担がかかり、動脈硬化が起こります。そして、動脈硬化が進行すると脳梗塞などの合併症を発症するリスクが高まります。合併症を発症すると、体に障害が残ったり命に関わったりすることがあるため、高血圧にならないように注意すること、すでに高血圧の場合は血圧を正常化することが大切です。
今回は、高血圧が脳梗塞を引き起こす理由や、高血圧の予防・改善法を紹介します。
高血圧と脳梗塞の関係
高血圧の状態が長引くと、血管に負担がかかり動脈硬化(弾力性が失われて硬く脆くなること)につながります。
さらに、血管内にプラークと呼ばれる脂の塊が付いたり血栓ができたりして、血管が狭くなったり詰まりやすくなったりします。血栓が脳の血管に詰まった場合に脳梗塞が引き起こされるのです。
実際に日本では、最高血圧が160mmHg以上の場合は3.46倍、最低血圧が95mmHg以上の場合は3.18倍も脳梗塞を発症するリスクが高まるという報告があります。

脳梗塞とは?
脳梗塞とは、脳の血管が詰まり、脳に必要な血液が届かなくなって脳の組織がダメージを受ける病気です。脳梗塞が起こった場合、片側の手足(片麻痺)や顔面の麻痺、ろれつが回らない(構音障害)、言葉(失語)が出ないといったさまざまな症状が出ることがあります。
しかし、脳梗塞などの合併症が起こる前は、血圧が高くても自覚症状がないのが一般的です。そのため、いつのまにか動脈硬化が進行している場合もあるため、高血圧の原因や予防・改善法などを知って早めに対策することが重要です。
高血圧の原因
高血圧には、本態性高血圧と二次性高血圧(の2種類があります。本態性高血圧は原因が分からない高血圧のことをいい、高血圧の約90%を占めるといわれています。
本態性高血圧の主な原因は、食塩の過剰摂取、肥満、飲酒、運動不足などの生活習慣とされています。次は予防・改善方について解説していきます。
高血圧の予防・改善法
減塩
本態性高血圧の大きな原因は、塩分の取り過ぎとされています。塩分を過剰摂取すると体内に水分がたまり、血流量が増えて血圧が高くなります。そのため、まずは減塩から始めましょう。食塩摂取量の目安は6g未満/日とされています。
食事の際に以下のようなことを心がけると、塩分摂取量を減らしやすくなります。
- 薄めの味付けにする
- 代わりに出汁で味付けをする
- 味噌汁や漬物の量を減らす
- 野菜、果物、大豆製品などを食べる
体重の減量
太ると血圧が上がりやすく、動脈硬化も進みやすくなります。
男性・女性のどちらでも、BMI25以上は肥満と判断されます。下記の計算式で自分のBMIを計算してみて、肥満の場合は減量しましょう。
- BMI=体重(kg)÷(身長(m)×身長(m))こちらで簡単に確認できます!
運動
運動をすると血管が広がって血行がよくなり、血圧が下がり減量にもつながるとされています。散歩やストレッチ、サイクリング、ジョギングなど、脈拍が100〜120/分になる程度の運動を1回につき1時間、1日置きに行うのが目安とされています。
ただし、高血圧の重症度や合併症の有無によって適切な運動量は変わるため、医師に相談しましょう。

禁煙・アルコールを控える
喫煙すると、血管が収縮して血圧が上昇し動脈硬化が促進するといわれているため、禁煙も大事です。
喫煙の量に限らず、喫煙歴があるだけでリスクが上昇します。
また、アルコールの過剰摂取も血圧を上げる原因となります。男性はアルコールとして1日20~30ml(ビールの中瓶1本程度)、女性はその半分までが適量です。
睡眠・休養をしっかり取る
ストレスを感じると血管が収縮し血圧が上がることがあるため、趣味などで気分転換できる時間を作ってストレスを解消しましょう。
また、睡眠不足に陥ると、血圧を上げる交感神経と血圧を下げる副交感神経の切り替えがうまくいかず、血圧の調整ができなくなって高血圧につながるとされています。6~8時間程度を目安に、十分に睡眠を取りましょう。
高血圧と診断されたら早めに治療を
高血圧は動脈硬化を進行させ、脳梗塞や心筋梗塞などの合併症を引き起こす可能性があります。合併症が起こると、生命の危機に陥ったり障害が残ったりする恐れがあるため、高血圧と診断されたら合併症を起こす前に治療を始めることが大切です。
高血圧の予防・改善には食事内容を見直すこと(減塩)や運動をはじめとする生活習慣の改善が役立ちます。それでも血圧が下がらない場合は、血圧を下げる薬が処方されます。人によって適切なセルフケアや治療法は異なるため、医療機関を受診して医師に相談するとよいでしょう。
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