脳梗塞の後遺症に多い高次脳機能障がいの特徴

記事

本日は高次脳機能障がいについて解説していきます。

身近な人が高次脳機能障がいと診断されたり、これまで耳にしたことがある人もいるのではないでしょうか。高次脳機能障がいのそれぞれの特徴と症状、リハビリ専門職の立場での高次脳機能障がいに対する対応方法などをご紹介いたします。

高次脳機能障がいの特徴や症状

高次脳機能障がいとは、脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)などの脳の異常や事故による脳の損傷により、脳の機能の一部に障がいが起きた状態をいいます。

手足の麻痺などは外見からも怪我や病気であるとわかりますが、高次脳機能障がいは、外見では判断しにくく、周りの人から理解されにくいという特徴もあります。その点で、周囲の人から理解されないことも多く、皆様の悩みの一つになっていると思われます。

症状についてですが、高次脳機能障がいは脳の損傷部位によって、症状はさまざまです。代表的な症状と生活の上での具体例、対応方法をそれぞれ解説していきます。

注意障がい

長時間、集中力が続かなかったり、気が散りやすかったりする症状です。また、同時に複数のことを注意することができなくなったりします。

  • 集中力が続かずに仕事のミスが多くなってしまう
  • 外を歩くときに車に注意して歩くことができない
  • 少しの話し声や騒音、妨害でも気になってしまう
  • 人の話を最後まで聞くことができない
  • 注意散漫になってしまって集中出来ない

生活の上での工夫

  • 静かで環境や整理整頓された場所で作業するようにする
  • 作業の時間を短く、単純にする
  • 簡単な作業から徐々に難易度が高い作業課題にする(段階的に作業レベルを高める)
  • 貼り紙やしるし、アラーム機能などで注意を向ける

記憶障がい

新しいことが覚えられなかったり、体験したことや知識を思い出せなくなる障がいです。所々、覚えていても一部を忘れてしまうようなこともあります。その障がいの度合いも人様々です。

生活の上での具体例対応方法のポイント
・今朝食べたものを思い出せない
・事実と異なる話をしてしまう
・過去のことを思い出せない
・メモやボイスレコーダーなどを活用する
・スケジュール帳を使用して予定を管理する
・使い慣れたものを使用する
・普段実施することを固定化して統一する

失語

失語とは、言いたくてもその言葉・単語が出てこなかったり、思っていることと違う言葉を発してしまうことをいいます。言語障がいの中には失語のほかに構音障がいもあります。

生活の上での具体例対応方法のポイント
・言いたいことがあるのに相手に伝えられなくてイライラしてしまう
・思ってもいないことを相手に伝えてしまう
・家族や他人とコミュニケーションがうまく取れない
・ジェスチャーを交えて説明する
・絵カードなどを使用する
・ゆっくりと話しかける
・言葉の切れ目で少し間をつくる
・「はい」「いいえ」で答えられるような質問をする
・言いたいことを推測しながら話す

遂行機能障がい

遂行機能障がいとは、物事を順序立てて行うことが難しくなり、仕事や家事などの段取りが悪くなることをいいます。主な原因は脳の前頭葉という部位の障がいだとされています。

生活の上での具体例対応方法のポイント
・料理や仕事などを行う際の計画ができない
・約束する場所に行くために何時に家を出て良いかがわからない
・仕事が予定通りに仕上がらない
・間違いが多い
・スマートフォンやPCの作業の方法がわからない
・マニュアルなどのルールを利用してその通りに実施するようにする
・スケジュールを枠組みしてその通りに行動する
・単純な作業を行うようにする
・注意事項は確認しやすい場所に貼る
・行動前に具体的な行動や結果を提示する

半側空間無視

半側空間無視とは、例えば左右いずれかの空間や物体に注意が向かない障がいのことをいいます。左側に注意が向かないことを左半側空間無視といい、右側に注意が向かないことを右半側空間無視と言います。左半側空間無視の方が多いとされています。

生活の上での具体例対応方法のポイント
・車椅子を漕いでいて右側の壁にぶつかる
・歩いていてよく右側の壁にぶつかってしまう
・左側の食器に気が付かないため左側の食事を残してしまう
・左側だけの髭を剃り残してしまう
・体が左に傾いてしまう
・食器などの配置を工夫する(見落としやすいところに配置しない)
・見落とさないように確認する習慣づけをする
・普段注意が向かない方向への指差し確認

感情と社会的行動の障がい

脳の障がいによって感情や欲求がコントロールできなくなったり、すぐに怒ったり、何もやる気がなくなってしまったりして、社会生活に影響するような問題行動が生じやすくなります。

場所や時間、環境に合った行動や言動ができずに自分自身をコントロールできなくなってしまいます。

生活の上での具体例対応方法のポイント
・思い通りにいかないと大声を出してしまう
・こだわりが強くなってしまう
・子どもっぽくなってしまう
・何をするにも声掛けなどが必要になる
・我慢ができなくなってしまう
・興奮している時は休憩を促して落ち着かせる
・ストレスがたまってしまう因子をなくす
・話を傾聴する
・自分自身で気づくように他者が促す
・急な環境変化をしないようにする

その他にも様々な症状があります

代表的な症状をいくつか紹介します。

失行

失行とは、パターンや順序を覚える必要がある作業を行う能力が失われる障害です。 失行がある人は、複雑な作業や単純でも作業でも、身体的には作業を行う能力があるにもかかわらず、必要な一連の動作を行えないか、その順序を覚えることができません。

失認

脳の損傷により、感覚障害がないにもかかわらず物体や人の顔などが認知出来ないことをいいます。 ある一つの感覚を介して対象物を認知することができないため、コップを目で見て何なのか分からなくても、触ってみるとコップと分かることがあります。 高次機能障がいのひとつであり、病態失認や半側空間無視なども失認に含まれます。

まとめ

今回は高次脳機能障がいの概要、具体例、対応方法のポイントを紹介しました。

高次脳機能障がいはさまざまな症状があり、その対応も多様です。また、高次脳機能障がい自体は周りからは気づかれにくいうえに自分自身でもわからないことが多いです。そのため、介護する家族が日常的に障がいを患っている本人のことを理解するなどの関わりが重要となります。困っていることがありましたら当店までご相談ください。

TEL:080−3366−8199

コメント