起立性低血圧、起立性調節障害について
「立ちくらみ」、「失神」、「気分不良・全身倦怠感」、「朝の起床困難」、「午前中に調子が悪く午後に回復する」、「頭痛」、「腹痛」、「動悸」、「食欲不振」、「車酔い」、「顔色が悪い」といった症状のうち3つ以上、あるいは2つ以上でも症状が強ければ、「起立性低血圧」、「起立性調節障害」が疑われます。
定義
起立性(体位性)低血圧は,立位をとった際に生じる過度の血圧低下である。コンセンサスに基づく定義は,20mmHgを上回る収縮期血圧の低下,10mmHgを上回る拡張期血圧の低下,またはその両方です。
急性の起立性低血圧
一般的な原因としては以下のものがある:
- 循環血液量減少
- 薬物
- 長期臥床
- 副腎機能不全
慢性の起立性低血圧
一般的な原因としては以下のものがある:
- 加齢に伴う血圧調節の変化
- 薬物
- 自律神経機能障害
食後の起立性低血圧もよくみられる。これは炭水化物を多く含む食事に対するインスリン反応と消化管での血液貯留によって発生する可能性があり,この状態は飲酒により悪化する。
起立性低血圧や起立性調節障害は、自律神経(交感神経や副交感神経)の機能が低下したために、循環の調節(特に上半身、脳への血流低下)が障害されて起こる障害であり、日常生活が損なわれ社会生活に支障が生ずることもあります。
その他の要因
このような場合には、まず、鉄欠乏性貧血、心臓の病気、てんかんなどの神経疾患、副腎、甲状腺などの内分泌疾患等の病気ではないかを診断する必要があります。
病歴や既往歴の詳細な問診や、必要があれば検査を行います。
その結果、これらの病気が明らかにならない場合には、起立性低血圧、起立性調節障害である可能性が高くなります。
起立性低血圧や起立性調節障害の治療としては、薬剤を使わない非薬物療法と、薬を使う薬物療法があります。
非薬物療法としては、運動療法、水分摂取、就床時刻を守る、などがありますが、ストレスの回避が重要です。
対処法について
坐位や臥位から起立するときには、頭を下げてゆっくり起立する。静止状態からの起立は1~2分以上は続けない。起立中は足を交差し、下半身への血液移動を防ぐ。
水分摂取は1日1.5リットル~2リットルと十分に行い、塩分を十分にとるようにする。
適宜歩行などの運動を行う。
眠くなくても床に就くのが遅くならないようにするなどが必要です。
薬物療法としては、血管に作用して血圧の低下を防ぎ、上半身や脳への血流を確保する薬剤を使用します。薬物療法を行う場合でも、上記の非薬物療法を並行して行うことが重要です。

まとめ
長期臥床後に多いとされる起立性低下血圧。普段安全に部屋の中を歩けていても、起き上がりベッド脇で意識を失い転倒するケースを多数見てきました。転倒し打撲等の怪我で済む場合もありましたが、大腿骨や背骨・手の骨を骨折してしまうこともありました。血圧が一時的に低下するだけの問題だけではなく、大怪我の要因となる場合もありますので注意が必要です。
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