寝たきり要因!廃用症候群とは ~原因・予防法について解説~

記事

本日は、病気やケガなどで身体を動かさない時間が続き、さまざまな症状が出現する
廃用症候群」について解説していきます。

廃用症候群はあまり聞きなれない病名かもしれませんが、高齢者だけでなく若い人でも発症する可能性がある病気で、廃用症候群とリハビリテーションにはとても深い関わりがあります。廃用症候群の治療としてはもちろんのこと、廃用症候群の予防としてもリハビリテーションは欠かせません。

廃用症候群の原因や症状、そしてリハビリテーションとの関連性及び重要性について分かりやすく解説します。特に持病をお持ちの方、家庭内にご高齢の方がお見えの方にも必見の内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください!

廃用症候群とは?

廃用症候群とは病気や怪我の治療で療養する必要があり、身体をあまり使わない状態が長期間続くことによって、身体機能が低下する現象を指します。廃用症候群は「身体の不活動状態によって生じる二次的障害」で、不動低運動臥床などによって全身に生じる様々な症状のことを指します。要因は2つあります。

(1)内的要因

病気によって生じた身体・精神症状によって「不動」の状態が続くことによるもの
(例:麻痺、痛み、息切れ、抑うつなどで動くことができない)

(2)外的要因

外部環境が身体活動を制限することで「不動」の状態が続くことによるもの
(例:骨折しギプス固定をしていた、治療のためベッド上で安静の指示、介助者不在など)

廃用症候群の症候は、全身の(筋骨格系、循環・呼吸器系、内分泌・代謝系、精神神経系 )など各臓器の症状として多岐にわたります。これらすべてが日常生活における自立度を低下させる原因となります。特に高齢者や入院期間が長期におよぶ方に多く見られる問題で、例えば、入院中にベッドで長期間過ごすことで筋力が低下し、退院後に今まで当たり前のようにできていた日常生活での動作が困難になることがあるのです。

例)今までは普通に歩いていたが、足の筋力が低下し満足に歩けない など

廃用症候群の原因

廃用症候群の主な原因は身体活動の不足です。それでは、いくつかの具体的な原因を挙げてみましょう。

(1) 長期ベッド上での安静

手術後の回復期間や慢性疾患のために長期間ベッドで過ごすことが廃用症候群を引き起こす大きな原因です。特に高齢者では、心臓などの内臓の大きな手術後や骨折などの手術によって長期間のベッド上安静を余儀なくされることがあります。ベッドでの安静は必要ですが、その期間が長期に続くと筋肉がどんどんやせ、筋力が低下していくだけでなく、関節が硬くなってしまい(拘縮といいます)身体の柔軟性が失われていくのです。身体機能の低下だけでなく、認知機能の低下にもつながります。

(2) 運動量の低下

日常生活における運動量の低下も廃用症候群の一因です。特にデスクワーク中心の生活を送っている方は、意識して身体を動かさないと普段の生活から運動不足に陥りがちです。また、定年を迎え退職したことなどをきっかけに社会とのつながりが減って、自宅に閉じ篭りがちになり運動不足に陥る方も少なからずおられます。健康な方でも少しのきっかけで廃用症候群につながる可能性があります。

(3) 精神的なストレス

精神的なストレスやうつ病も身体活動を減少させる要因となります。気力がわかず、活動量が減ることで廃用症候群が進行することがあります。

廃用症候群が及ぼす悪影響

廃用症候群は身体機能と精神機能の両方に深刻な影響を及ぼします。代表的なものを挙げています。

(1)筋力低下

長期間身体を動かさないと筋肉が萎縮して、筋出力が低下します。これにより歩行や立ち上がるなどの日常的な動作が困難になります。

(2)関節の硬直

運動不足によって関節の柔軟性も失われます。関節が硬直すると動かす際に痛みを感じるようになり、痛みが続くことでさらに活動が制限されるという悪循環に陥ります。

(3)骨密度の低下

身体を動かさないことで骨にかかる荷重負荷が減り骨密度が低下します。これにより骨折のリスクが高まります。

(4)心肺機能の低下

運動不足は心肺機能の低下を招きます。これにより動いた時の息切れや疲労感が増し、日常生活においても長時間の活動が制限されるようになります。

(5)精神的な影響

廃用症候群は身体だけでなく精神にも悪影響を与えます。活動量の低下はうつ病や不安感の増加を引き起こす可能性があると言われています。

廃用症候群の悪循環

alt=”廃用症候群の負の連鎖“

廃用症候群の予防法

廃用症候群を予防するためには以下のような対策が有効です。

(1)定期的な運動

最も効果的な予防法は定期的な運動です。特に筋力トレーニングやストレッチ、ウォーキングなどの有酸素運動が推奨されます。無理のない範囲で毎日少しずつ身体を動かす習慣をつけましょう。

(2)生活習慣の見直し

日常生活の中で意識的に身体を動かす工夫をしましょう。例えばエレベーターの代わりに階段を使う、通勤時に一駅分歩くなど、運動量を少し多くなる工夫が大きな効果をもたらします。

(3)バランスの取れた食事

栄養バランスの取れた食事は筋力や骨密度を維持するために重要です。特にタンパク質やカルシウム、ビタミンDを多く含む食品を積極的に摂取しましょう。

(4)精神的なケア

精神的な健康も忘れてはいけません。家族の献身的なサポートもとても有効です。他にもストレスを軽減するためにリラクゼーション法や趣味の時間を持つことが大切です。また、必要に応じてカウンセリングを受けることも検討しましょう。

(5)専門家のサポート

運動やリハビリテーションに関しては専門家の指導を受けることが重要です。理学療法士や作業療法士に相談することで、個々の状態に合わせた適切な運動プログラムを組むことができます。

廃用症候群とリハビリテーション

「早期」リハビリテーションとは?
早期リハビリテーションとは病気や手術、けがなどからの回復を促すために、できるだけ早い段階からリハビリテーションを開始することを指します。通常、手術直後や病気の急性期が過ぎた直後から始めることが多いです。

リハビリテーションには、身体機能の回復を目指す「運動療法」や、日常生活動作の改善を図る「理学療法」「作業療法」、言語機能の回復を目指す「言語療法」などがあります。これらを早期に始めることで、身体状態が回復するまでの期間を短縮して、生活の質(QOL)を向上させることが目的です。

(1)脳卒中後のリハビリ

脳卒中(脳梗塞・脳出血)を発症した場合、発症後できるだけ早くからリハビリを開始することが推奨されています。初期段階では、身体の動きを取り戻すための運動療法や日常生活動作の訓練が行われます。ベッド上で行われるリハビリから、ベッドから起き上がって立つ運動や歩く運動など多岐にわたります。

(2)手術後のリハビリ

大腿骨骨折などの改善のために人工関節置換手術や整形外科的手術を受けた患者さんの場合、手術後数日以内にリハビリが開始されることが一般的です。術後早期から関節を動かすことで関節が硬くなることを防ぎ、並行して歩行訓練も行われます。

心臓手術後のリハビリ

心臓手術(ペースメーカー挿入・弁置換術)後の患者さんには早期から軽い運動を行うことで、心肺機能を維持して回復を促進します。医師の指示のもと、ごく軽い筋力強化トレーニングや歩行や呼吸訓練(有酸素運動)が含まれます。

当店介入事例はこちら

まとめ

~早期リハビリテーションの効果を最大化するためのポイント~
病気を発症した直後から行う早期リハビリテーションは、退院後に行う継続的なリハビリテーションと組み合わせることで、最大の効果を発揮します。もちろん入院中だけでなく、退院後も継続してリハビリを行うことが重要です。
早期リハビリテーションは、病気や手術からの回復を促進し、生活の質を向上させるための重要なアプローチです。筋力をはじめ身体機能の低下を防ぎ、合併症の予防や精神面のフォローを含んだ健康の維持に寄与します。専門家の指導のもとで段階的に進められ、患者さん自身の積極的な参加も求められます。

当店では急性期・回復期病院退院後、十分なリハビリを受けることができない方に対して、訪問自費リハビリを行なっております。保険外のリハビリですので、発症からの期間やリハビリの提供時間に制限はありません。かかりつけ医・ご本人・ご家族等と相談の上、リハビリ時間や頻度を決定いたします。

TEL:080−3366−8199

コメント