脳卒中後は便秘になりやすい!?対策方法について解説!

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今日は脳卒中(脳梗塞/脳出血)の後遺症に多い、便秘についてです。

今回はその便秘の改善に繋がる方法についていくつかご紹介していきたいと思います。

便秘症とは

便秘症とは『本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態 』(慢性便秘症診療ガイドライン2017より)と定義されています。

数日間便が出ないというだけでなく、排便する際に必要以上にいきんでしまう、残便感があるなども便秘の症状ということです。

このほかにも、

  • 腹痛
  • 腹部膨満感
  • 頻回便

なども症状としてあります。

これらの症状が継続しますと、腸の活動が正常に行われず、

  • 腸閉塞
  • 虚血性潰瘍
  • 痔核

などの様々な症状を引き起こしてしまう要因となることもあります。便秘によって病気を引き起こすだけでなく、体の不調として、

  • 体臭や口臭の悪化する
  • 肌荒れや吹き出物といった肌トラブル
  • 体重増加

などの症状が見られるようになることから、便秘は健康を維持するためにも改善しておく必要がある項目となります。

便秘の原因

便秘になる原因としては、大きく分けて器質性便秘と機能性便秘に分けられます。

器質性便秘とは、便の通り道に何かしらの障害があることでスムーズに排便がいかないことを指します。

器質性便秘

  • 痔核
  • 大腸がん
  • 腸閉塞

などの便の通り道が直接的に障害されたものです。

機能性便秘

機能性便秘とは消化管以外に原因がある場合です

  • 内分泌・代謝疾患(糖尿病、甲状腺機能低下症、慢性腎不全)
  • 神経疾患(脳梗塞・脳出血、パーキンソン病、脊髄損傷など)
  • 膠原病(全身性硬化症、皮膚筋炎)
  • 変形性疾患(アミロイドーシス)
  • 精神疾患(うつ病など)

が挙げられます。

そのため、脳卒中(脳梗塞/脳出血)の後遺症としては機能性便秘に当たる方が多くなります。

そもそも、排便をする際のメカニズムとしては、直腸に便が溜まると、直腸の神経を通し、大脳皮質に便意が伝わります。

便意を感じたことで、排便の準備を始め、排便に必要な腹圧を掛けることで体外へ便が排出されます。

しかし、脳卒中になると、腸内に便が溜まり、大脳皮質に便意を伝えてもうまく伝わらない、排便をするための準備として腹圧をかけたり、腸の蠕動運動を大脳皮質から指令を出しても体にうまく伝わらないことがあります。

その他にも、日中の運動量の減少や水分不足など様々な原因が脳卒中後では起こりやすく、便秘になりやすくなっています。

いきみ過ぎは危険?

また、便秘になると排便時にいきみやすくなります。

いきむと体が緊張し交感神経が活発化します。
交感神経優位になると心拍数は増加し血管は収縮するため、血圧が急激に上昇してしまうのです。
急激な血圧の上昇は脳梗塞を引き起こす原因となるため、慢性的な便秘気味の方、血圧が高い方、動脈硬化が進行している方などは気をつけてください。

なぜ脳梗塞になると便秘になりやすいのか?

脳梗塞になると、膀胱直腸障害が後遺症として残ってしまう方がいます。
膀胱直腸障害とは、脳梗塞で脳細胞が損傷を受けて便意を感じる感覚が障害されたり、排便をコントロールする運動神経が障害されたりすることです。
その結果、排便を思うようにできなくなり便秘になってしまうことがあります。

また脳梗塞で入院中の方は、状態が安定したとしてもそれまでの生活のように動き回ることはできません。
そのため腸の働きも低下し便が出にくくなるのです。

さらに排便のしやすさには、環境や精神的状態も大きく影響します。
健康な状態であれば自分でトイレまで歩いて排便をします。
しかし、ベットの上で排便しなければいけない場合は、慣れない環境で精神的に落ち着かないため排便しづらくなってしまう方が少なくありません。
他にも腹圧をかける力が弱まっている、足が麻痺し踏ん張れないなども便秘の原因となっていると考えられます。
このようにさまざまな要因が重なり、脳梗塞後は便秘になりやすい状態になっているといえます。

便秘の改善方法

便秘の解消法の1つとして服薬がありますが、服薬に慣れすぎてしまうと自然な排便がしづらくなることもあります。

そのため、服薬の前に生活習慣の見直しをすることが大切になります。

今回はどのような生活習慣を見直すことが必要なのかをご紹介していきたいと思います。

1.適度な運動をする

適度な運動は腸の活動を高めるためにも必要です。

有酸素運動や簡単な運動やストレッチなどから行うようにしましょう。

また排便をする際には適切な量の腹圧を掛ける必要があります。

腹圧を掛けるためのトレーニング方法としては以下の運動があります。

ヒップリフト

【方法】

  1. 仰向けになり、膝を軽く曲げます
  2. おへそを天井に向け突き出すようにし、ゆっくりとお尻を持ち上げます
  3. ゆっくりとお尻をおろします
  4. 2,3を繰り返し行います

からだ捻り運動

【方法】

  1. 椅子に座った姿勢で行います
  2. 両手を前で組み腕を伸ばします
  3. 腕を伸ばしたまま身体を左右に捻ります

腹圧はかけすぎると血圧を上げる原因となるため、スムーズな排便ができるように腹圧をかける練習を行うようにしましょう。

2.食事やトイレのタイミングを決める

食事のタイミングを整えることで腸の活動時間も決まります。

3食の食事の時間を規則正しくすることで腸の活動、排便のタイミングが安定していきます。

脳卒中になると、便意を感じにくくなることもあるため、定期的にトイレに向かうようにすることで自然と排便が促されるようになることもあります。

食事をとるタイミングやトイレに行くタイミングは一定にするようにしましょう。

3.食物繊維の入った食材を適量摂取する

現代日本人の食生活の中では食物繊維が足りていないと言われています。そのため、食物繊維をしっかりとることが大切ですが、摂取量に注意が必要です。とりすぎてしまうことでも便が詰まりやすくなってしまいます。

便秘改善のためには適量の食物繊維を取るようにしましょう。食物繊維には、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類があり、それぞれに効果があると考えられています。

水溶性食物繊維

水溶性食物繊維は、炭水化物でできていて水に溶ける物質群で構成されています。

水溶性食物繊維を含む食品は、くだもの、オーツ麦、大麦、豆(エンドウ豆、ビーンズ)、サイリウム、ペクチン、小麦デキストリンなどがあります。

不溶性食物繊維

不溶性食物繊維は植物の細胞壁に由来するもので、水に溶けません。

不溶性食物繊維を含む食品の例としては、小麦、ライ麦、その他の穀物が挙げられます。食物繊維は便を膨らませ、柔らかくして通過させやすくします。

食物繊維は、下剤ではありませんが、便が規則的に通過するのを助けます。

食物繊維の推奨摂取量について

食物繊維の推奨摂取量は、1日あたり20~35gです。

食品裏に記載された栄養表示を見れば、1食あたりの食物繊維のグラム数を知ることができます。

食物繊維を摂取すると、腹部の膨満感やガスなどの副作用が生じることがあります。これは、少量から始めて、便が柔らかくなって回数が増えるまで徐々に増やしていくことで、最小限に抑えることができる場合があります。

4.水分を適量摂取する

水分の量が少ないと便が硬くなりやすく、排出されにくいということがあります。

心疾患などで水分摂取に制限のない方は、適度な水分をしっかりと摂取するようにしましょう。また牛乳やお茶などは便を軟かくしたり、腸の動きを助けてくれます。逆にコーヒーや紅茶は利尿作用があり、体から水分を尿として排出してしまいます。

このほかにも、便秘の改善方法や運動の方法はありますが、どの方法を選ぶかは便秘の状態やお身体の状態に合わせて行うようにしましょう。

脳梗塞が原因で起こった便秘を解消するには?

3~4日、排便がない場合は下剤を投与することがあります。
下剤は、刺激性下剤と非刺激性下剤の2種類に大きく分けられます。

非刺激性下剤

非刺激性下剤は、便を柔らかくすることで排便を促す薬です。

刺激性下剤

刺激性下剤は、腸の活動を活発にさせることで、排便を促す薬です。
非刺激性下剤と刺激性下剤両方の効果をもっている下剤もあります。
一般的には、非刺激性下剤から試し、それで効果があらわれない場合は刺激性下剤を使います。
しかし、長期間に渡り刺激性下剤を使っていると慣れてしまい効きにくくなってしまう可能性があります。下剤がないと排便出来なくなってしまう可能性もあるので注意が必要です。

まとめ

どのような状態かは専門家(医師や看護師)に確認し、運動の方法などについてはリハビリスタッフと確認しながら行うようにしましょう。

当店では「お一人お一人に合わせたオーダーメイドのリハビリをマンツーマンの完全個別対応」で受けることができます。

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